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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第166回「降りつもる」
 募集期間が冬でしたので、やはり雪をテーマとする作品が全体的に多かったですが、降らせ方や設定にひと捻り加えたり、いくつも意味を重ねたり……と、テーマに向き合い創意工夫を感じられる作品が、やはり目を引きました。  一方で雪とは別の物を降りつもらせた作品についてはまさに多種多様で、こんなのもありか! とその発想力に驚かされるものばかり。あれにもこれにもトンデモ賞を……なんて思わせてくれる、大変楽しい選考となりました。

大賞(賞金3万円+選評)

不思議な力が宿ると言われる“文字”が降る街で生きる、職人師弟の凸凹コンビ感が軽やかで楽しい一作です。設定が練られており、伝わりにくそうな職人技術を雪像作りに例えるのもイメージが湧きやすく、読者を世界観に没頭させる一助となっています。意外なオチも楽しく、他の依頼人のストーリーもぜひ読んでみたいと思いました。

準大賞(賞金2万円+選評)

領海を守った功績から独立領となった南の島に、天候を操る一族の巫女姫が嫁いでくることになるが――。粗野な男とあっけらかんとした姫のバランスが微笑ましく、またファンタジーな世界観の中で、島の人々が確かに息づいている空気感が伝わってきます。ラストの粉雪降る舞のシーンは想像するだけでわくわくし、主人公と一緒に心を奪われるようでした。

入賞(賞金1万円+選評)

炎上タレントが妹を庇い、事故で重体に。姉を慕う妹の姿が報道されると、世間は手のひらを返し彼女を賛美し始め――。悲劇のヒロインである主人公に感情移入しながら読み進めていくと、まさかの展開に背筋が寒くなりました。美しく流れていくストーリーはもちろん、ひっくり返し方や伏線のちりばめ方もお見事。思わず始めから読み返したくなります。

佳作

違う世界の住人が見える主人公。異界の住人に誘われ、料理を振舞われるが――。降りつもった“想い”を料理にして食べる、というアイデアが秀逸。己に降りつもっていた感情に後ろ向きな反応を見せる主人公が、ある想いを使われたと知った時の、痛切な叫びに胸を締め付けられます。孤立する原因となった力が、誰かを救える力にもなるというラストに心が温かくなりました。
祖父の遺品整理にやってきた主人公。ゴミ屋敷さながらに散らかった部屋にうんざりしていたが……? 部屋に積もった物は思い出の地層であり、そこから掘り起こされるものは想いという化石。親しみやすい会話の中から感じられる、親子三代のつながりに心が温かくなると同時に、テーマを幾重にも絡ませる手腕に唸らされました。
降ってきたら嬉しいが、たくさん降ると迷惑なもの。金はその最たるものかも、と思わせてくれる短編です。夢のような話かと思いきや、その利点がそっくりデメリットになってしまう。シンプルな構成ながらシニカルなリアリティがあり、ラストの一言まで皮肉が効いている、キャッチ―な一作でした。
狂暴な魔物が跋扈する闇の森で暮らす夫婦。彼らはなぜ、そこで暮らすことを選んだのか? 異種族婚における寿命の差という王道設定をテーマとうまく絡めた上で、森の寒さと、家の暖かさ。躍動する魔物と、それを狩る者。そして老いた妻と若々しい主人公。随所に感じる生と死の対比が深みを与え、森で生きる彼らの人生が伝わってきます。読み応えのあるファンタジー作品でした。
初めて呼ばれた祖父の家。語られたのは、家に伝わる雪女との約束の顛末で――。御伽噺のような物語が現代に繋がる流れに淀みがなく、主人公と共に自然と受け入れられました。心の深いところで繋がる雪女と祖父の関係はまさに純愛。ラストは悲劇的でありながら、せつなくも温かさがじんわりと胸に融け広がるような読後感を与えてくれました。
「アイデアが降ってくる」という言葉のまさにワンアイデアが、見事な仕事ドラマに仕立てられていました。設定は奇抜ですが、アイデアを出した者だけでなく、磨き上げる人々がいて初めて形になるのだという、確かなメッセージ性を感じます。アイデアを得たことで主人公が熱を取り戻す展開も熱く、応援したくなると共に、自分も前向きになれるような作品でした。

超短編賞

ベーコンとナスのトマトソースパスタが大好きな主人公。ようやく理想の一皿に巡り会い――? タイトル通りの飯テロ掌編。リズミカルな文体が心地良く、読み進めるごとに脳内でパスタが出来上がり、食べたくなってしまいます。理想を追い求め、ついに出会った一皿への感動に共感していたところで、オチにずっこけながらも笑ってしまいました。

続きが読みたい賞

姿を見せない王女、その伴侶を決める武闘会が開催されることに。しかし王女の正体は、大会にも出場する騎士団長だった――。身分を隠し、男装して騎士団に身を置くお姫様と、騎士の食い違いラブストーリー。王道の設定を安定感ある筆力で描き切っており、ラストの物足りないくらいの甘さがいいアクセントになっています。長編で今作の前のストーリーから後日談まで読んでみたくなりました。

トンデモ賞

人々の恋愛感情が樹木の花粉に支配された世界。主人公は唯一、その影響を受けない特異体質で――。世界のシステムから弾かれた少女の苦しみと、その果ての暴挙が痛々しく、胸に刺さります。花粉が積もると恋をするという発想と、それに逆らう主人公の行動、二重の意味で驚きをもたらしてくれた本作品に、トンデモ賞を贈りたいと思います。

優秀作品

ホラー 完結
12分 (6,923文字)

ホラー 完結
11分 (6,115文字)
スケジュール
・応募期間:2022年1月12日(水) 12:00:00 ~ 2022年2月13日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2022年4月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第166弾です。 今回のテーマは、「降りつもる」です。 どこかに必ず「降りつもる」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・記録的な積雪で交通機関がマヒしたのに、出社しろと言われた。思わず“会社が雪に埋もれないかな”と呟いたら……⁉ ・山奥で金の生る木を見つけたが、高すぎてとても登れない。だがある日、落ちた金が根本に降りつもっていた! ・友人を殺した。都合良く俺を利用するばかりのあいつに、気付けば友情よりも憎悪の方が高く降りつもっていたのだ。
雪が降りつもる季節。想いが降りつもるとも言いますが、雪も想いも、許容量を超えて積もれば大変なことになってしまうかも……? そんな「降りつもる」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています!
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第167回のテーマは「初めての○○」です。 本コンテストと平行する形で2022年1月26日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第167回の応募期間内に新規投稿してください。応募期間前に投稿した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト