このコンテストは受付を終了しました

三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第172回「私にしかできないこと」
 方向性としては大半が「特殊な事情により私にしかできない」か、「誰でもできることをいかに私がやるのか」の二つに分けられました。  前者は、そのキャラクターがどのように自分の立場を受け入れるのかへの納得感。後者は身近な事柄に対する共感度や、平凡ながらもなくてはならない仕事に対する向き合い方が肝になっており、その上で物語や人物をより広く深く掘り下げた作品が、特に目を引いたように思います。

大賞(賞金3万円+選評)

ゴミ収集作業員の主人公はある朝、アパートの集積所に佇む母子に声をかける。すると母親は何かを「捨てたい」と訴えて……? 微笑ましくも不穏な前半、温かな人情味あふれる中盤、からのどんでん返し。構成が巧みで、さながら味変のように読者を飽きさせません。どんどん引き込まれ、ラストまで一気読みさせられてしまいました。

準大賞(賞金2万円+選評)

一目惚れした彼と付き合って一年。大切にされ幸せな日々を送っていたが、ある日彼が車に撥ねられ亡くなってしまう――。伏線が上手く活かされており、人間の多面性が垣間見える作品でした。読後に冒頭へ戻るとなんともやるせなく、ずしりと重たい感情が尾を引きます。

入賞(賞金1万円+選評)

ある日、十円ハゲができた。それを見た隣の席の螢川くんは「河童みたい」と言い、自分を憑き物オタクだと名乗り……? 少し不思議で不気味な同級生の演出が上手で、それが後半とのギャップを際立たせ、思わずにやけてしまいます。二人のこれからを応援したくなりました。ぜひシリーズもので読んでみたいです。

佳作

生かさず殺さず育てられる鬼の子と、世話役で不思議な力を持った盲目の多々羅。ある夜、二人は村長の秘密を知ってしまい――。呪いや因習の中で生きるキャラクター造形が秀逸かつ魅力的。クライマックスにも迫力があり、ドキドキしながら読み進められました。内容が詰め込まれ密度がある分、ラストが駆け足気味で尻切れトンボになっているのがもったいなく感じます。
町一番の剣術道場で最も腕の立つ十兵衛は、妻が臥せり苦しい生活を送っていた。そんな彼に盗賊が目をつけて……。平易な言葉かつわかりやすいストーリーが意識された、児童書のような時代劇。シンプルゆえに主役二人のキャラクターや唯一無二の関係性が強調され、より魅力的に伝わります。めでたしめでたしのラストまで、楽しく読むことができました。
家庭環境に問題を抱えた梓馬とかぐや。互いの隙間を埋め合うような歪な共依存関係とその終わりが、美しい言葉で紡がれています。流れる時間や感情の起伏など、随所の描写に作者のセンスが光っていました。主人公がヒロインのために行動をとったラストは、前向きながらもせつない余韻が残ります。
いつも通りに出勤すると周囲の様子がおかしく、上司の指示で家に帰された。その帰路、一台の車が後をつけてきて……。不穏さが強い引きになっており、先の気になる導入です。主人公の行動は褒められるものではないとわかってもなお、その強い意志に共感してしまいました。周囲の認識とのギャップが大きいほどに主人公思惑通り、という仕組みもおもしろかったです。
聖女の力に目覚め、田舎から王宮に召し上げられたマリー。想像を超える激務に疲れ果てた頃、二人目の聖女が現れて……? テーマがよく活かされており、個性豊かで親近感を持てるキャラクターにも好感が持てます。聖女という設定や、それらを使った場面展開も面白く、最後まで飽きずに読み進めることができました。優しく温かな読後感も心地よかったです。

超短編賞

画家としてのチャンスと引き換えに、恋人に振られた男。それは恋人の幸せを願い仕組んだことだったが、彼女は気付いていて――。互いを想い合う恋人たちのせつないすれ違い、と思わせてからの根深い真実にしてやられました。周到に準備された計画はまさに彼女にしかできないことであり、その執念に背筋が冷えました。

続きが読みたい賞

政略結婚で敵国に嫁いだ姫。夫となる王は冷たく彼女を迎えるが、相手の心を読む能力がある姫には、その本心が筒抜けで? 王のクールな外面とデレデレな内面のギャップがおもしろく、笑いながらもきゅんとしました。気丈で聡い姫が戸惑う様子にも思わずにやにやしてしまいます。これから降りかかる苦難を二人で乗り越え、愛を深めていく様子も見てみたいです。

トンデモ賞

待遇に不満を訴える左手たちが、体内で革命を起こす!? 冒頭の“内閣臓器大臣”や“天脳陛下”というワードが強烈で、笑いながら膝を打ちました。ないがしろにされがちな身体の一部たちが、飲み屋で管を巻く様子にもシュールな笑いがこみ上げつつ、その悲哀がなんだか愛しい。読後、思わず自分の左手を見つめてしまいました。

優秀作品

ヒューマンドラマ 完結 過激表現
6分 (3,159文字)
スケジュール
・応募期間:2022年4月13日(水) 12:00:00 ~ 2022年5月15日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2022年7月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第172弾です。 今回のテーマは、「私にしかできないこと」です。 どこかに必ず「私にしかできないこと」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・片想い相手でもある幼馴染が、彼女にフられたと愚痴る。最初に彼を慰められるのは、私だけの特権だけど……。 ・怪獣が二体同時、それも離れた場所に現れた!戦えるのは俺一人、いったいどうすれば!? ・流行り病に見舞われた村の村長は、かつて迫害し追放した魔女が薬を作れると知り――?
「あなたにしか出来ない」なんて、一度は言われてみたいもの。でも実際に言われたら困ってしまうかも? そんな「私にしかできないこと」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第173回のテーマは「芽生え」です。 本コンテストと平行する形で2022年4月27日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第173回の応募期間内に新規投稿してください。応募期間前に投稿した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト