つぶやき一覧

どうも、陶山でぇーす。お久しぶりっす。うん。連続コメントしてしまったー。いやぁー、どうにもこうにも、仕事が忙しかけん、どげんしようもなかやんねぇーという気分です。あ、方言でちゃった。ワンピースのハンニャバルみたいだなぁーと一人、思いました。最近、ワンピースの漫画のキャラが多すぎて分かんねーって人が増えてます。あ、ちなみに私はローとバルトロメオがよいのですが、どうでもいいね。ゾロやルフィもよいのですが。 というわけで、コメント連載作品だけれど、書いてたら楽しくなっちゃって、予定じゃ一ヶ月、程度のつもりだけど、先延ばしになるかも知れない。 さて、ここからは、覚悟と生き残り少女と書かなくては……
【コメント連載作品。十六話目】 「蛍火は善悪を語るつもりはないんですけどねぇ」 死んでいる。生き返ることはない。殺したのは蛍火なのだから、よくわかっているが、蛍火の心中にはフツフツと怒りが沸き上がっていた。怒りを向ける相手は全て肉塊にした。充分に満足なはずなのに蛍火の怒りはおさまらない。 「蛍火は、命を狙われることも、殺されそうになることを構わない」 でも、食事を邪魔されるのだけは嫌だ。手間ひまかけて、用意したはずなのに、こんなの不味いと皿をひっくり返されたら用意された側は怒りを覚える。 蛍火も同じ心境だった。食事を邪魔されたこと、そして、何より、この少女は蛍火を仕留めるだけの使い捨ての
【コメント連載作品。十五話目】 隙だ。いくら、異形の相手でも、手負いの化け物を仕留めることができたはすだけれど、覆面の男達は誰一人、動くことはできなかった。 蛍火の体内から取り出した物があまりにも気味が悪く、彼らは立ち尽くしてしまった。 それは白い、棍棒のようなもの。ただし、その素材が問題だった。ゴツゴツとした表面、ねっとりと体液の滴り、地面に落ちていく。白色の棍棒を見た、覆面の男が呟いた。 「じん、こつ」 人骨、おそらく、何人もの人間の骨を混ぜ合わせ、一本の棍棒に叩き上げた。素材にしろ、なんにしろ、誰が好き好んで使いたいと思うだろうか。 彼らとて武人である。覚悟を持って戦場に立って
【コメント連載作品。十四話】 少女は唖然とし、蛍火が本当に十秒、数えはじめてやっと動き出すことができた。 「十」 それは走るというより、獣のそれに近い、四本の手足を使い、がむしゃらに走っていた。 「九」 こんなのは間違っている。少女はこの五日、繰り返しそう思ってきた。だって、 「八」 少女は悪いことなんてしたことはなかった。貧しいけれど、慎ましく、両親のために働いてきたんだから、 「七」 欲張らない人生、身の丈にあった人生、少女はこれだけしか望んでいなかった。 「六」 こんな白髪の鬼に殺されそうになる理由なんてないはずだ。こんなこと、間違っている。おかしい。 「五」 こういう不幸
【コメント連載作品。十三話目】 「撤退して正解でしたねぇ、まぁ、蛍火は戦闘大好きな鬼ではありませんし、あんな奴らとドンパチするような熱血でもないですし、んー、これを攻撃されなかったのは不幸中の幸いというやつでしょうか」 うなじに生えた二つの角を撫でつつ、蛍火は、シュルシュルと家主の娘の着物を纏う、方正との戦闘や、領主の屋敷の住人、全てを喰い殺したせいで返り血でベッタリと汚れていた。 「ねぇ? そう思いませんか。お嬢さん」 と縄で繋いだ少女を見下ろした。猿ぐつわでしゃべれなくしてあるため、返事はかえってこないが、瞳は恐怖に染まり、ガタガタと震えていた。まぁ、無理もないだろう。 両親を目の前
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【コメント連載作品。十二話目】 女の涙ほど、見ていて苦しいものはない。と山都方正は腰掛けながらそう思った。彼女、由真に何かあったときにすぐに駆けつけられるように、なるべく近くで待機していたが、部屋の中から聞こえる、嗚咽が方正の胸を抉っていた。 『俺にできることをしただけだ』 この言葉に嘘はないし、これからだって、それを貫くつもりだが、彼の胸の中にあるのは後悔だった。もしも、もっと早く彼女を見つけることができたなら、もっと早く、あの鬼を見つけることができたら犠牲を出すこともなかったし、彼女が右腕を失うこともなかったかもしれない。 戦場に『もしも』なんて都合のいい言葉はないことは、方正がよく
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【コメント連載作品。十一話】 取り繕うことのないまっすぐな言葉、嫌味が嫌味にならない。まるで、王道の物語にあるような不幸な少女と、勇敢な戦士のようだとだった。不意打ちでもくらったように、由真は口をパクパクさせた。 はっきり言おう。とても恥ずかしかったし、顔がカァッと熱くなる。何を考えているんだ。アホかと自分を叱責し、 「もういい。寝るっ!! お前は出て行け」 「そうか、何かあったらすぐ呼べ」 「ああ」 と方正は立ち上がり、出て行こうとする、その後ろ姿に由真は思わず口を開いた。 「おい」 「ん? どうした」 「助けてくれて、ありがとう。一応、世話になったからこれだけは言っておく」
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【コメント連載作品。十話】 荒々しい扱いに、由真は方正を睨みつけた。しかし、彼は全く気にしたようすはない。乱暴に由真の額に触れる。 「熱は下がったようだな。五日も寝込めば、そうなるか」 「五日?」 五日も寝込んでいたのかと驚き、五日もの間、自分はこの男に面倒をみられていたのかと困惑してしまう。 「傷が治ったわけじゃない。強引に傷口をふさいだから、荒く動かせば、傷口が開く。嫌ならおとなしくしていろ」 「そう」 とだけ、由真は答えた。もしも方正が慰めや謝罪の言葉を言ったら由真は怒り、罵っていたかもしれない。事実だけを話され、由真はただ、そうと答えた。正直、疲れていた。 いろいろなことが
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【コメント連載作品。九話目】 夢を見ていた。自分の右腕が、食いちぎられ、喰われ、バラバラになっていく。ひきちぎられた右腕の傷口から真っ赤な血が流れ出し、それが道のように続き、追いかけてくる、白髪の鬼。 どこまでも、どこまでも、どこまでも、足はもつれ、汗が止まらない。死ぬ。死ぬ。死ぬ。立ち止まれば死ぬ。走り続けないと死ぬ。喰い殺される!! 「…………ッ!?」 飛び起きた。どうやら夢を見ていたようだと由真が気づき、そうか、夢だったのかと安堵し、流れた汗を拭おうとして『いつのものように』右腕を動かそうとしたとき、ズキンッと激痛が走り、夢ではなく、現実だったと思い知らされる。誰かが治療してくれて
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【コメント連載作品。八話目】 みせしめと言えばわかりやすいか、もしくは目には目を、歯には歯をと言うべきかもしれない。 一方的な怨恨で、部下を殺されたのなら、報復として少女を殺せばいい。しかし、少女は、この件にとって重要参考人である。殺すことはできないが、半殺し程度に済ませたというだけの話だ。躑躅に言わせるなら、 「まぁ、油断大敵というか、禁物? 素人に殺されるほうが、マヌケなのよ」 覚悟は一言。 「弱者は死ぬ。それだけだ」 だろう。まぁ、どんな理由があろうとも、少女の鼻っ柱を拳でぶん殴り、床に叩きつけて気絶させ、荷物のように担いで来た覚悟には、さすがの躑躅も閉口したが、それは、それ、
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【コメント連載作品。七話目。食人鬼と武芸者】 一方、その頃、部屋に数人の男達と、一人の女が集まっていた。その中には覚悟もいた。屋敷で起こったことの報告と、今後の話し合いに集まったのだが、女が、立ち上がり、覚悟の頬をムギューッと左右に抓った。 「かーくーごー? 貴方、自分がなにしたかわかってるぅ?」 男に、女がこんなことをすれば、無礼だと叱責を受けてもおかしくないが、女は覚悟の師匠である。当然、覚悟よりも強い。周囲に控える部下達も、いつものことだと、見守っているだけだ。 「よくわかりませんが、躑躅(ツツジ)様。やめてください。皆が見てます」 躑躅は、やれやれと肩をすくめながら、離れる。綺麗
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遅れながら、コメント連載作品。書けました。最近、忙しくて、なかなか書けない。他のシリーズも書かなくちゃと思うけど、携帯、片手に寝落ちなんて珍しくない。 あと、由真ちゃんが可愛くって仕方ないんだけれど、どうすりゃいいの? ノリアキラさんのところの、覚悟の過去篇みたいなやつ、書きたいなーと軽い気持ちで書き始めたけど、由真が私の中であーだーこーだーと言うのだけれど、もう、孫を愛でる爺の気分、爺じゃないけど。 物語遊戯のもほうも、投票されてるといいなーと、遠くから見守る陶山でした。さて、これで宣伝になるのやら、わからないが、ユマユマが可愛い。
【コメント連載作品。六話目。食人鬼と武芸者】 右腕を失うことなく、もう少しくらいなら長生きできたかもしれないのに」 まぁ、どっちにしても、喰い殺すことには違いはありませんけどと、蛍火はニィと笑って見せた。 「──────ハッ、かもな」 見捨ててしまえば、よかった。だけど、 「私は盗賊だ。善人じゃねぇし、まともな死に方なんて、できると思ってない。でも、ほんの少しの間でも情ってやつがわくものなのさ」 由真の誤算、歯車が狂った決定的、瞬間、さっさと逃げ出そうとした矢先、同じ使用人の少女が、蛍火の刃の餌食になろうとしていたのだ。 あまり仲のいい関係ではかったと思う。教育係として、いろいろ
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【コメント連載作品。五話目。食人鬼と武芸者】 爆風が吹き荒れ、土煙がもうもうと立ち込めていく。どうして、こうなっただろうか。どこから間違えただろうかと、由真は思った。あんな化け物と出会い、右腕を失うことになっただろうか。 最初の歯車が狂ったのは、ここらあたりいったいをおさめる領主の屋敷に使用人として忍び込んだことが、間違いの始まりだった。こっそり忍び込んだのでは、見張りに見つかってしまうなら、盗賊としてではなく、使用人として内部に忍び込めばいいと思ったのだ。 あとはどさくさにまぎれて、金品を盗み、姿をくらませばいい。かなり無理な仕事だったが物怖じするより、やってみる。盗賊は迷った者から死
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【コメント連載作品。四話目。食人鬼と武芸者】 『生きることは、奪うことだ。奪うことだ。由真、忘れるなよ』 彼女の師匠だった男の言葉を思い出しながら、森の中を走っていた。脂汗が額から流れ落ち、右腕から先の感触がない。とめどなく溢れていく、血液が彼女の命のようだった。 「くっ、どうして、なんなんだ。あいつは!!」 切断され傷口を左手でふさぎながら走る。立ち止まるわけにはいかない。立ち止まれば、殺される。喰い殺される。 ゴリッ、ムシャッ、メリッ、肉が喰いちぎられ、骨が砕かれ、そしゃくされる音が耳元で聞こえてくる。冷や汗がブワッと吹き出す。 「鬼ごっこというのも、楽しいものでしたけれどぉー、蛍
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【コメント連載作品。三話目。食人鬼と武芸者】 ちゅうちょなく、拳を叩き込まれた少女は、揺れ動く意識を強引に引き戻し、まっすぐ伸ばされた覚悟の腕にしがみついた。口の中には鼻血が混じり、息苦しいが、それ以上に彼女の中に根付いた恐怖が突き動かされていく。 死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。痛みを凌駕し、殺される前に殺すしかない。死にたくないのなら、こちらから殺すしかない。 隙をつき、相手の背後に忍び寄り、小太刀で一突きすることができた。この男も殺す。そして、逃げ
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【コメント連載作品。二話目。食人鬼と武芸者】 奪うのなら、奪われる覚悟を決めなければならない。もちろん、自分の命もそうだ。盗賊行為を働く以上、返り討ちにあい、命を落とす覚悟がなければならない。奪われる側だって、盗賊が襲撃してきたからと言って無抵抗で、金品を差し出せば、助かる道理はない。男は殺されるだろうし、女は連れ去られ、夜のおもちゃにされるだろう。 「ここで殺し合いが、起こったのは間違いないですね。もしや、襲撃した連中の目的は、死体なんてことはありませんよね? まぁ、生き残りがいれば、全てわかるんですけど」 部下が、冗談混じりに言うが、覚悟は、そうかもしれないなと、頷いた。この世には死体
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【コメント連載作品。一話目。人食鬼と武芸者】 辺り一面、血まみれだった。床も、天井も、壁も襖もあちこちに返り血が飛び散り、異臭が鼻をついた。ギィと床を踏みしめながら、男は言った。 「ヒドイものだな。この屋敷、全てがこのような状態なのか?」 悲惨な状況にも、顔色、変えずない男に、背後に控えていた部下は薄ら寒いものを感じながらもそうですと頷いた。正直、部下は、この男とあまり、関わりたくないと思っていた。男を言い表すなら、武芸者、もしくは、鍛錬の鬼と言うべきだろう。自身の身体を極限まで鍛え上げたその姿はたくましく、実力も相当なものだ。味方になるうちは頼もしいが、敵になったときは一番、厄介な存在に
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ジャック・オー・ランタンの正体は、口伝である。つまり、噂話、逸話、創作、伝承から発生した怪物なのだ。伝説の殺人鬼、神出鬼没な笛吹男、ハロウィンに登場するカボチャ頭、クリスマスにやってくる髭男など、数多い物語から、一つの存在に昇華したと言っていいだろう。 正体不明、経歴不明こそが、彼の、ジャック・オー・ランタンなのだ。そして、彼は夜をさまよい、口笛を吹いてまわる。同じようにさよえる魂を呼び寄せるために。 「さぁさぁ、みなさん、今宵は楽しい、楽しい御伽噺の時間ですよ」 集まってきた子供達は、皆、身体が半透明で生気がない。それは、死者だからだ。ジャック・オー・ランタンは、両手を広げ、皆に語りかけ
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カラン、コロンと足音が夜中に響き、口笛を吹きながら、男は屋根の上を歩く。大きなカボチャ頭にボロをまとったその姿は、カボチャのお化け、ジャック・オー・ランタンのようだ。 「ホホホホ、よい、夜ですねぇ、伊織嬢?」 と男は立ち止まり、屋根に座る少女に語りかけた。白髪に青色の着物少女は、男を一目見てツイッとそっぽむく。 「オヤオヤ、どうされたのですかな。伊織嬢、いつもの強気な態度はどうされたのですか? まるで、思春期の少女のようですぞ?」 「なんでもない」 「ほほう? もしや、山都少年にいつまでも放置をくらって、ご機嫌斜めですかな? ハッハー、なんと、おごぉ!?」 伊織の拳がカボチャ頭に突き刺
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プルルルと、コールの音が鳴り響く。山都は、この音があまり、好きじゃなかった。いつまでも耳にこびりつくような感覚が好きになれないのだ。 「…………」 受話器を耳に当てながら、山都は焦る気持ちをグッと押さえ込む。焦ったって仕方ない。 『………もしもし?』 と数回のコールのあと、女性の声が聞こえてきた。 「っ、俺だけど」 『大聖。ビックリした。いきなり、電話してくるんだもの』 ビックリしたと言いつつ、電話越しでも、嬉しそうだとわかる。山都も自然と口元が緩んだ。 「いいだろ。ほら、いろいろさ、あるだろ。一人だと大変なんだからさ。母さんが、心配なんだ」 『大丈夫よ。身体の調子もいいし。大聖が
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個人的な趣味というか、思考で、男の娘と、年上のお姉さんの組み合わせはよくないかなぁと昨日の夜、思いつき、勢いで書いてみた。百合だけど。 金髪吸血鬼と、眠るお姫様ってのも、悪くない。男装した吸血鬼が血に渇いて、疼いているんだけど、女性の血しか吸えないという苦悩と、自身の不安定さを考えると、私はいいと思う。 ありえねーって思うかもだけど、こういうのってよくないかなぁ。うん。気持ち悪いな。
ハロウィン、数日前のことだった。影沼帽子(カゲヌマ、ボウシ)は蛇目日傘に呼び出され、唐突に、こう、尋ねられた。 「ねぇ、帽子ちゃんはハロウィンで仮装したりするのぉ?」 と尋ねられ、帽子は困った。何も考えてなかったからだ。影沼帽子にとってハロウィンなんて正直、どうでもいいことだったし、仮装にもそれほど、興味もないが、せっかくの日傘からの呼び出しを台無しにしたくない。 「え、考えてはみたけど、ボクには似合わないと思うよ」 ギュッとニット帽をつかみながら言う。 「そうかなぁ、帽子ちゃんって綺麗な金髪だし、きっと、似合うと思うけどねぇ」 パラパラとカタログを開き、日傘は見せてくれた。仮装と言うよ
どーも、陶山千鶴でぇーす。山都大聖シリーズで、ハロウィンをテーマに書いております。ヒロインはほとんど、終わりました。うむ。楽しかったです。 あとは、伊織と山都だけです。ハロウィンまでに書けるかなぁーと不安でしたが、一ページ、千文字と制限がつくといろいろ書けました。はい。これからもちょくちょく、書いていきたいです。あと、いいねが一つでも押されてると、ああ、読んでくれてるんだなぁーと心がほっこりします。誰が押してくれてるかわからないけど、嬉しいです。 と、ここから話は変わり、エロい話か、新しくミステリー小説が書きたいと思ってます。 山都シリーズもいいけど、久しぶりに一人称の小説を書きたいと思
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月乃熊実(ツキノ、クマミ)は人間ではない。不可思議な力を手に入れ、人間の姿を手に入れたが、その正体は熊だ。だから、彼女がハロウィンをどう思っているかと聞かれても、 「へー、楽しそうだね」 くらいの感想しか出てこないが、全く興味がないわけじゃない。一人、屋根の上に腰掛けながら夜空に浮かぶ、月を見上げる。 熊だったころは、イベントなんてなかった。弱肉強食、弱い者は死に、強い者は生き残る。自然界にとって、強い子孫を残すのは当然だし、人間のように一見すると無駄と呼べる行為はしない。いや、しなかったと言うべきだろう。 今は違う。熊から人間へ、自然界から、人間界へ。住処を移せば、風習や文化も変わって
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「あ、山都様、おかえりなさですぅー」 ホワーッと頬を朱色に染めて、ポニーテールの少女が山都を見つめて言った。目はトロンと緩み、周囲にはお菓子の包み紙が散乱し、うっすらとチョコレートの匂いがした。 「ま、真朱? どうしたんだ?」 と、山都は聞いた。おう、ただいまと言えなかった。トロンと緩んだ口元に、若干、乱れた衣服から覗く、素肌はいつもの真朱らしくない。真朱は礼儀正しい少女なのだ。 「むぅー、山都様。ちょっとそこに座ってください」 パンパンと床を叩いて、こっちにおいでと真朱が手招きする。山都が座ると、真朱は言った。 「山都様ぁ、私のこと、どう思ってるんですかぁ?」 ろれつの回らないのか、さ
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本間田奈にとって、ハロウィンは毎年、恒例のイベントであり、片想いの幼なじみと楽しむためのイベントだ。 幼なじみの名は高間裕樹。いつも口喧嘩が絶えない、田奈の幼なじみであり、片想いの相手だ。 裕樹の身体には不可思議な力、漫画や小説に出てくるような力が身体に宿っているのだ。その力を発現させた裕樹の姿は狼と表現するほうがしっくりくる。荒ぶる力を抑えきれず、暴れまわる狼男になってしまう。きっかけは田奈を襲った野良犬を裕樹が追い払おうとしたときだった。感情の高ぶりと共に、力を発現させた。それからずっと田奈は裕樹を見守り続けている。 イベントは裕樹と一緒にいられたという記念日、節目のようなものだ。ハ
高間裕樹(タカマ、ユウキ)にとって、ハロウィンは毎年、おとずれるイベントでしかなかった。彼の母親の誕生日が七夕と重なっている影響か、ハロウィンも例外なく祝うのだが、裕樹は不機嫌だった。 「裕樹、ねぇ、裕樹!! 聞いてるのっ!?」 と、幼なじみの女の子が耳を思いっきり引っ張られ、怒鳴られた。 「っ!? うるせーな。聞いてるよ!!」 それにつられて、裕樹も怒鳴り返す、幼なじみの女の子の名は、本間田奈(ホンマ、タナ)。引っ張る手を払い落として、睨む。 「じゃあ、さっき、言っていたこと復唱してみて、さぁ、どーぞ」 「あ? えっと、ハロウィンの飾り付けを買いに行くんだろ?」 「違う!! それは
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赤羽揚羽にとって、ハロウィンは縁遠いイベントだった。父親から実験道具、自身の身に宿る不可思議な蝶の力を利用去れる存在だった、彼女にはハロウィンを含め、イベントに参加したことは、ほとんどなかった。 金髪少年こと、山都大聖に助けられ、こうして平穏な日常を送れるようになっても、それは変わらなかった。まぁ、マイペースな彼女の性格も関係しているが、急ぐことはないのだ。 「山都お兄ちゃん。絵本、読んで」 ハロウィンまで、あと数日前のこと、揚羽は絵本を持って、山都の自室に来ていた。 「ん? なんだ。また、来たのか」 「だって、やっとカボチャ紳士の冒険記、借りられたから、山都お兄ちゃんに読んでほしいと
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どーも、陶山です。今日は山都大聖シリーズ。蛇目日傘ちゃんのハロウィンを書いてみました。どうだったかなぁ。前編、後編になっちゃったけど、書いてて楽しかった。 いろいろ頑張るけど、うまくいかない日傘ちゃんを書いてて、思わずニヤニヤ、努力の仕方がハンパないのに、見事に空回り、転んでしまったり、でも、山都くんからもらったチョコレートはきっと美味しかったんだろうなぁーとか、うん。 陰火や真朱も書いてて楽しかった。陰火はツンデレちゃんだし、真朱は初々しいし、やっぱり書くって楽しいなぁー。 明日は、赤羽揚羽のハロウィンを書きたい。
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