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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第196回「また会えたね」
 また会った、ではなく「会えた」。その微妙なニュアンスの違いに含まれる喜びの感情をいかに表現するのか、どう物語に深く絡ませていくのか? 受賞作の多くは、その部分がしっかり意識されていたように感じました。  比較的傾向が偏りやすいお題だったかと思いますが、今回特に目につきやすかったのが青春系作品。かつての同級生との再会、そしてその関係性の変化という点が、お題に落とし込みやすかったのかもしれません。

大賞

東京からの転校生に、同じ境遇だった人物の悲惨な末路を思い出し同情する小山。ところが彼はあっという間に馴染み、小山のポジションを奪っていく。アイデンティティを奪われる焦りや劣等感、嫉妬といった感情が、痛々しいほど鮮明に描かれています。物語の流れも丁寧なので共感度が高く、没頭して読めました。クライマックスには涙が滲みます。

準大賞

陸上競技に導入された、世界記録保持者のホログラムを決勝進出者と共に走らせるシステム。オリンピックで優勝したもののホロに惜敗した風馬は、次大会での雪辱を誓う。ハイレベルなスポーツ作品で、真に迫るレース描写はスローモーションに感じるほど緊張感があり、息を飲みました。それまで見えていなかった存在に気付かされるラストシーンがにくい演出で、読者の目にも焼き付くようです。

入賞

象の長老に話をせがむ子供達。その内の一頭が持っていた黒い棒を見た長老は、その棒にまつわる昔話を語り始める。憎しみの連鎖とそれをいかに断ち切るのか、という重いテーマですが、やわらかな語り口でスッと頭に入ってきます。やるせなくも考えさせられ、どうか争いが終わるようにと願わずにはいられません。ビターな味わいの、まさに大人の童話でした。

佳作

家族みんなが大好きな“お母さん特製カレー”。実家でそれを作りながら、咲乃はこのレシピを教わった時のことを思い出す。懐かしい料理の味が思い出を呼び起こす。それを“また会えた”につなげるのが胸に沁みます。特製カレーが生まれた経緯には家族の歴史が詰まっており、深いつながりに目頭が熱くなりました。ほっこりだけにとどまらない構成もお上手でした。
ある日、夫が自宅で見かけた子供のコビト。妻に話すと大喜びし、夫婦はコビトに気付かれないよう、密かに世話を焼き始めるのだが――。不妊に悩み苦しんでいた妻が、コビトを我が子のように可愛がる様子が本当に幸せそうで、読んでいて優しい気持ちになれました。意外な展開はありませんが、ほっこりあたたかな読後感を味わえます。
本をだしに声をかけてくる相手を、いつも適当にあしらってきた野崎。ところが今回の相手は、彼女の要求に応えてみせて――。悔しがりながらも同好の士を見つけた嬉しさがにじみ、律儀に約束を果たす主人公が微笑ましいです。一冊の本をきっかけに親交を深めていく様子が甘酸っぱくも自然な流れで、その後の別れからラストシーンまで目が離せない、さわやかでドラマチックな青春ストーリーでした。
地方の居酒屋を訪ねた、小指の欠けた男。その店には、彼が20年探し求めた男がいるはずで――。どう見ても訳ありな始まりで、張り詰めた空気感に引きつけられました。義を貫く主人公の言動が、終始一貫してハードボイルドな世界感を作り上げています。ラストシーンは、ひと仕事終え歩き去る彼の背中が映像で思い浮かぶようでした。
夢の妖精レヴはいつもひとりぼっち。たまに人間の子供が遊びに来ても、朝になれば忘れられてしまう。そんなある時、朝を迎えても帰らない子が現れて? また一人になるとわかっていても少女を現実へ送り返したレヴと、そんな彼との夢を忘れなかった少女の絆に、胸がいっぱいになりました。ぜひ絵本で読んでみたい、優しく心温まる「また会えたね」の物語です。

超短編賞

数多いる兵士から、同じ戦場に配置された10人。彼らは奇跡的にも、かつて別の戦場で離散した仲間同士で――。緊張感と昂揚感に溢れながらも、どこか違和感を覚える前半。後半でその理由が判明し、そうくるかと笑ってしまいました。“やり遂げた”感のあるオチはなんだか胸が熱くなるのですが、想像するとやっぱりシュール。噛みしめるほどに味のする、スルメのようなショートコメディです。

続きが読みたい賞

部屋の片づけ中、小学校の図書貸出カードを見つけた麻里。そこに書かれた名前に、かつて図書室で過ごした一週間を思い出す。“グラウンドの勇者”と本好きでおとなしい主人公。普段関わりのない2人の交流が微笑ましいです。再会後の関係はもちろんですが、ビブリオバトルという気になる要素もあるので、一緒に参加する2人も見てみたいと思いました。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年4月12日(水) 12:00:00 ~ 2023年5月14日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年7月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第196弾です。 今回のテーマは、「また会えたね」です。 どこかに必ず「また会えたね」のシチュエーションが登場する妄想を投稿してください。
・幼い頃に引越した初恋の幼馴染と、高校で再会。かっこよくなった彼に想いが再燃して……。 ・引きこもり男が久々に外出すると、なぜか色んな人から「また会ったね」と挨拶されて……? ・古い人形を捨てた翌日から、行く先々で“また会えたね”というメッセージと共に、その人形が置かれていて――。 ・戦争で生き別れた姉妹。いつかまた会おうと誓った二人は20年後、再会の時を迎え――。
親しい人や懐かしい人との邂逅は嬉しいもの。けれどもしそこに、なんらかの意図があったとしたら――? そんな「また会えたね」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第197回のテーマは「道」です。 本コンテストと平行する形で2023年4月26日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第197回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト