King Crimsonの大傑作アルバム『Red』、僕にとっても大大大と大をいくつもつけたいくらい特別に大好きな作品なんですけど、発売50周年記念版がつい先日リリースされ、そのスペシャル・エディションのなかに収録されているエレメンタル・ミックスがサブスク解禁ということで、エレメンタル・ミックスとはなんぞや? というのはとりあえずおいとくとして、いま、まさにそのエレメンタルなミックスの音源を聴きながらこれを書いているんですが、いやはや、やっぱり凄まじくすばらしい、おそろしいほどの音圧、音粒、音塊、音数、音像の美しさ。変拍子やポリリズムをとことん追求しているという面では80年代のメンバー編成時の
“Rue Delambre Courtyard in Snow”『ドランブル街の中庭、雪の印象』という、藤田嗣治の絵が好きで。まだ例の「乳白色」も確立してない1918年頃のパリ周辺の景色を切りとった小品といった感じの、どちらかというと習作に近い地味な風景画にすぎないのですが、一目見て惚れましたね。椹木野衣の美術批評で『アッツ島玉砕』を知って以来フジタのファンで、画集などに掲載された写真ではなく、いつかは本物をじかに見たい見たいとおもってたというのもあって、もう五年以上も前ですけど2018年に京都国立美術館で回顧展が開かれていた際ふらっと鑑賞しに行ったわけです。偶然、駅の冊子か電車の中吊り広告
どんな創作者でもけっこうそれぞれにこだわっているというか、とらわれているというか、意図してあるいは意図せずとも、作品のなかでくりかえし描くモティーフというものがあって、たとえば画家の藤田嗣治でいえばそれは「猫」で、『自画像』『横たわる裸婦と猫』『争闘(猫)』『猫のいる静物』等々と生涯にわたってほんとうにたくさんある。小説家の島田荘司なら『異邦の騎士』『眩暈』『エデンの命題』『ネジ式ザゼツキー』といった一連の傑作群に共通しているのが「記憶」、その生成過程が現実と幻想を対立的にではなく融合的に生みだすという認識や構造の物語。THE YELLOW MONKEYには『LOVERS ON BACKST